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8.June.2013 Hayama.Kanagawa.Japan |
別れの言葉をずっと言いたいと思っていた。
3ヶ月目の月命日。
僕は夢を見た。
いつかどこかで聞いたような話。
それは、彼が生きている頃に戻る夢。
けれど、皆知っている。
彼がいつかいなくなることを。
時折寂寥感を覚えながら、それでも誰もがあの頃に戻ったことを喜んだ。
ふわっとした温かな感覚だけが残る幸せな日々だった。
だが、あの悲しい出来事を忘れ、
この生活がいつまでも続くと思い始めていた矢先、
僕は彼の命日が明日であることに気づく。
そして、皆に知らせるのだ。
最期の日。
彼はいつの間にか旅立つ準備をしていた。
行き先は誰も知らない。
彼は知っていたのだろうか?
本当はもう二度と会えないことを。
皆が彼のために集まり、一緒に写真を撮ったりしている。
これが最期だと知っているから、
それを悟られないように、必死にいつも通りの笑顔で接しようと努めながらも、
見えないところでお互いに目を合わせては泣いていた。
出発のとき、皆で手を振って見送った。
車に乗り込むその姿は、一番大好きなラグビーの高校時代のユニフォーム。
別れの言葉をずっと言いたいと思っていた。
“ありがとう”
“さようなら”
そんな事を言おうと考えていた。
でも、
彼も僕も皆の口から出てきたのは、この言葉。
“またね”