8/31/2013

足下暗し

31.August.2013     Kasumigaura.Ibaraki.Japan




僕の住む辺りは、蓮畑の花が散ることが夏の終わりの知らせ。
8月最後の思い出は、湖に浮かぶ帆引き船。
昔から知ってはいたけど、ちゃんと見るのは今日が初めて。
こんなにキレイだとは全然知らなかった。

かつては漁師の船であった帆引き船も、今では観光の為に運行するようになりました。
船の形のみならず、人の生活も変わりましたが、何とか後世に残ってほしい。
この美しい帆を作るのは、魚を捕る網を作り・修理する“網大工”と呼ばれる人。
漁師にとって網は非常に重要で、それぞれの漁師によって大きさや素材が異なることも今日初めて知りました。
そして、船本体を形作る杉の木も、筑波山から吹き下ろす“筑波おろし”によって育てられる。
この杉は、木の水分が少ない冬に切り出すということです。

古いもの、時代に合わなくなってしまったものを無くす事は簡単。
また、船という“形”を残すことも重要ですが、そのような人々がいた記憶や知識を学び・伝える事も同じくらい重要なこと。
当たり前ですが、これがなかなかうまくいかないのが世の中。

帆引き船のような、素晴らしいものがあったことを思い出せた今日は良い一日。
次回は遠くから眺めるだけでなく、間近で見て触ってみたいものです。

また楽しみが一つ増えました。





8/29/2013

No.2

5.August.2013     Akabane.Tokyo.Japan




一方、こちらは建築家・石山修武によるカッコいい北清掃工場。

すっかり煙突ファンになり、あちこちの煙突が気になる今日この頃です。





8/24/2013

異物

24.August.2013     Adachi Ward.Tokyo.Japan




地元の人には当たり前の風景でも、
ヨソ者から見たら、ツッコミたくなるものはたくさんあります。

住宅地に突如出現する巨大なモニュメント。
かわいい足立清掃工場。


8/18/2013

追憶

10.August2013     National Museum of Nature and Science




自然科学に興味があります。
父親が読んでいた科学雑誌『Newton』は、見ているだけでワクワクしたものです。

30年ぶりくらいに訪れた東京・上野の国立科学博物館は、ダイオウイカ旋風により「深海展」が大盛況。

でも、真夏の炎天下に長時間外で並んで待つ、なんてことはとても出来ないので断念。
その代わり、常設展示を観た

なんて魅力的な世界!!

大人になっても全く飽きない。
それどころか、興味の幅も広がりさらに色んなものに目移りが。

でも、王様はやっぱり不動です。

カッコいいぞ、恐竜!
カッコいいぞ、フタバスズキリュウ!!



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追記
東京駅と同じように、国立科学博物館もリニューアルされたとの事。
吹き抜けの天井や、ステンドガラスなど、改めて見ると素晴らしいものばかりです。
展示だけでなく、建築も魅力満載。


8/16/2013

真夏の妙

16.August.2013     Ami.Ibaraki.Japan




親しくしているスリランカ人の家族が、新盆を迎えた我が家にお参りに来てくれた。
ご主人によると、日本に来てから冷遇される事も多かった中、
ウチの家族は温かく受け入れてくれたのがきっかけとのこと。
以来、産まれた子供の名前を僕の母が命名させてもらい、
困った時には必ず来てくれる情の厚い人達だ。

“盆”というのは、日本独自の文化のようだ。
同じ仏教でも、スリランカでは盆のような行事はないらしい。
日本でも、浄土真宗など宗派によっては盆がない。

僕の住む辺りでは、盆の初日には提灯に火を灯し、お墓に先祖を迎えにいく風習が残る。
我が家の場合、お墓に迎えにいく代わりに玄関先で迎え火を焚く。
“盆の時は先祖が里帰りするため、星の数が少ない”と母の叔父が言っていたそうだ。
確かに、空を見ると星が全く見えない。
そんなの天気によるじゃない?
まぁ時にはそういうこともあるだろうなと思ってた。
でも、盆の間僕は何だか本当に先祖が近くに居るような気がして、結構神妙な気持ちで過ごしている。

盆の終わりには、また玄関先で今度は送り火を焚き、先祖を見送る。
火が消えると、ちょっと寂しく感じるのはいつものこと。
でも、今年は家族にとって特別の想いがあった。
そんな盆もあっという間に例年通り過ぎていく。

送り火を焚いているとき、
“煙に乗って先祖たちは幽界に帰るんだって〜”なんて話をしていた。
僕は、今年は何かあるんじゃないかと思って一生懸命煙を見つめる。
でも、何にもない。
やっぱりそうだよね、、、と思っていたら、
2歳に満たない無口な姪っ子が、空に上っていく煙を指差して手を振っていた。

そんなちょっと不思議な出来事もあるのが夏という季節なのかな。




8/15/2013

終の空

15.Augst.2013     Lake Kasumigaura.Ibaraki.Japan




僕の地元は戦争時の面影を色濃く残す土地だ。

それは、1920年に霞ヶ浦海軍航空隊が作られたことに始まる。
広大な原野に、当時東洋一と呼ばれた国際的な飛行場が作られ、
海外からはドイツの大型飛行船ツェッペリン号、アメリカの飛行家リンドバーグ夫妻などもこの地にやってきた。
また、同時に路面電車が開通して海軍の町として賑わい、花街は今でも残る。
バスに乗っていると“武器学校前”という名のバス停があるが、
よく考えると結構物騒な名前だ。
幼い頃は、そんな事全然気付かなかったけどね。

終戦の日。
近所の「予科練平和記念館」に行った。
“予科練”とは、“海軍飛行予科練習生”のこと。
第一次大戦後、戦争には航空機が重要な要素となることに伴い、
旧海軍は航空兵を養成しようとする。
そして、1940年に土浦海軍航空隊を設置して教育したのが僕の地元
ここには、約70倍の超難関を突破した14〜17歳の少年達が全国から集まった。
空に憧れて来た者、経済的事情から家計を支える為に出世を目指して来た者。
それぞれの想いを抱いてこの地に来たことが記録にみられる。

展示には、写真家・土門拳がこの地に泊まり込んで撮影した写真がある。
少年達が過酷な訓練を受けたことは、説明を受けなくても鍛え抜かれた身体から容易に想像できた。
その中に、グライダーの授業を写した一枚が。
広い空を滑空するグライダーを、一面の野原に立つ少年達が見上げている。
まるで、少年達の夢をそのまま写真にしたようだ。
おそらく、この時間だけは誰もがすっと力が抜け、
辛さも忘れて、ただ自分も空を飛びたいと思ったことだろう。

だが、少年たちの想いとは裏腹に、戦況は悪化。
やがて、最後の手段である“特攻”が行われる。
最初の特攻メンバー5人のうち、2人がここ土浦海軍航空隊からだった。

予科練の卒業生の犠牲者は8割にのぼる。
その数約1万9千人。
また、航空機実験の為に犠牲になった動物達もいた。
彼らが残した言葉を見ていると、いつの間にか腹に力が入り、奥歯を噛み締めてしまうほど心に迫るものがある。



好きでなったがパイロット
娑婆(しゃば)の五十を三十で暮らす
左様奈良(さようなら) 



帰り道、いつも眺めている霞ヶ浦の水面に立つ無数の竹棒が、
そうした彼らの墓標に見えた。





8/11/2013

キカイダー

10.August.2013    National Museum of Nature and Science




僕がいつも行くリサイクルショップにて。

古い大工道具を物色していたら、横にいたオジさんが「お宅も古い道具探してるの?」と言う。
「まぁ、そんなところです。」と答えた。
するとこのオジさん。
何やらベラベラと道具や機械について話し出す。
機械をいじるのが大好き。
しょっちゅう庭やらガレージやらで機械を触っていて、どんな職業をしているのか全く分からない。
そんな人をよく見かけるという心当たりがある人もいるのでは?

僕はこんな人は嫌いではない。
だから、そんな人達を敬畏を持って「キカイダー」と呼んでいる。



キカイダーは大きく3つに分けられる。
1つ目は、こちらが質問してもなかなかそれには答えてくれず、
自分のタイミングや興味と質問が合った時のみ返事がくる。
無愛想だけど、その情報は実に有益だ。
こちらが質問のボールをたくさん投げても返球は少ない人。
故に「多投一返球型」と呼ぶ。

2つ目は、ボールを一球投げると、何個も返球が来る人。
こちらは「一投多返球型」。こんな人はもの凄くありがたくて、一家に一人欲しい。

3つ目は、こちらがボールを投げなくても、向こうからこちらに延々とボールを投げ続ける人。
こちらは「無指向性暴投型」。
自分には訳の分からない話が長過ぎて、捕まるとちょっと大変だ。



話が戻るけど、そのオジさんは誰かに色々と話したくてウズウズしてたんだろう。
見た目は誰が見ても怪しい。
今回は「無指向性暴投型」だったのだけれど、ちょっと興味が湧いたので話を聞いてみる。
やっぱり専門的すぎて、素人のこちらには何を言ってるか分からなかったが、
今まで分からなかったモノの正体が分かったりして、僅かだけど収穫あり。

最近はパソコンや電動工具など、色々なモノ故障で修理センターなるものに行ったり、
電話で聞いたりしても、一問一答のようになってしまい、それ以上の発見が少なく、
自分勝手ながら物足りなさを感じる。
もっとも、そんなに関係ない話ばかりをしていたら商売にならないからなんだけど。

その点、キカイダーたちは色々自分で試し、成功談や失敗談、
工夫した事など経験値を上乗せして話してくれるから、実に興味深く説得力がある。
しかも、この機械しか知らない、というのではなく非常に守備範囲が広い。
また、機械というものを通して世の中の流れを見ているキカイダー。
これがとても鋭くて、ハッとさせられる事は多い。

今では何でもインターネットで調べられると思いきや、そんなことはない。
他人から得た情報だけでなく、自分で情報を実践で確かめてみる。
頭で後先考えず、手でモノを考える人たち。
自分に足りない部分だ。

やっぱりキカイダーは面白い。






8/10/2013

リアル

10.August.2013    The National Art Center Tokyo




話題のアンドレアス・グルスキー展へ。
自分の中に大きなインパクトがあったので、観てみたかったのです。

実際に作品と対峙してみる。

すると、遠近感がなく、日常の出来事が非日常に思えてしまう。
“でも、それも一つの現実なんだ”。
そんなものでした。

何て表現したらいいか分からない奇妙な写真群。

歪みのない均質な世界。
あるシーンをそのままスキャナーでスキャンしたと言えばいいのだろうか?
それとも、薄くスライスしてプレパラートに乗せ、真上から顕微鏡で覗いたと言う方がいいのか?

こんな奇妙な違和感と恐怖はどこかで味わった覚えがあるなぁ。。。

そんなことを考えていると、思い出した。
映画「マトリックス」を観て感じたものと同じだ。
世界をスバッと切り取って、一枚の写真に落とし込むその切れ味は、
ただただスゴい人がいるもんだと思わされました。


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追記
あんまり難しい評論家みたいな事考えなくても、ドイツ写真の生真面目そうな、
クールで、カクカクした感じが自分は好きだという事です。