18.Apr.2015 HusK Exibition |
HusK展は無事終了致しました。
当たり前のことですが、展覧会は自分と作品だけではなく
それを支える方々と来場してくださった方々がいて、
初めて成立するものだと身をもって経験する事ができました。
予想より遥かに多くの方に来ていただき、
一人一人しっかりお話しする時間がありませんでしたが、
とても良い刺激を受けました。
また、この展覧会という場が作品を観るだけでなく、新たな人との出会いを生む、
あるいは再会の場となり、賑やかなものとなった事も嬉しく思います。
ありがとうございました。
HusKは僕自身と社会の接点を探し続ける中、8年前にあるイベントをきっかけとして
原型が生まれました。
現代社会は本来人それぞれが持つ多様な価値観を大量のモノや情報によって
見えにくくしてしまいました。
ここでいう価値観とは、帰り道の一風景を美しいと思う心であったり、
雨が降った時の匂いを心地よいと感じる心であったりします。
僕は自分を含め、そのような心がどんどん失われていく事に危機感を覚え、
消えていく電球になぞらえ、自分の既成概念を疑い、
自由になろうとしたものがHusKになったと考えています。
ですから、HusKは使い方が一つに限定されず、綺麗だとか面白いとか思う心を呼び覚まし、持っている人が自由に遊べる道具であると言えるかも知れません。
誰もが持つごく単純な心を思い出させる事ができるものをこれから作っていきたいです。
僕の活動は微力であるため、広い世界の中においては急流に種を蒔くようなものです。
しかし、作ることを通して存在する全てのものが可能性を持ち、
楽しく生きていけるという夢の種をこれからも撒き続けていきたいと思います。
今後もまた少しずつ作品を発表していきたいと考えています。
次回をお楽しみに!
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18.Apr.2015 my brother's scarf |
そして、苦しい時に支えてくれたのは兄でした。
十数年前からものづくりを目指しながらも、
どこでどうやって思いを形にしたら良いのか迷い、失敗と挫折を繰り返した自分に
多くの人が疑問を呈して安全な道をすすめる中、
彼は僕がいずれ一人前になる事を初めから疑わず、ただ一人ひたすら応援し続けました。
そのあまりにも純粋な確信は、いつも折れそうな自分の支えでした。
声優であり役者であった兄と僕は、
将来一度でも一緒に仕事をしようと話した事がありました。
お互いの生業は一見全く接点のないように思えますが、
彼の言葉を借りるなら「誰かの心に豊かさをもたらす事ができると信じて」
いる点は同じなので、続けていればその時は来ると考えていました。
しかし、二年前のある日に彼は突然目を落とすことになりました。
一番最初に手に取ってもらうはずだったHusKも今回の個展も
兄がみる事はありませんでしたが、僕はいつか彼が来ると信じて作り続けました。
二人が思い描いた夢への軌道は、
これからも変わる事なく
いつかまた会う日まで続いてゆきます。